2011年 調査研究実施要綱平成23年度 琉球大学国際沖縄研究所現代沖縄研究班・沖縄自治研究会主催「地域にとって学校とは・学校にとって地域とは?-地域再生と教育再生の相互作用-」 1.研究の背景、目的 沖縄国際研究所現代沖縄研究部門及び沖縄自治研究会は、2009年度より共同研究「人の移動・定住と『公』の役割」に取り組んでいます。 この2年の成果として、沖縄の都市圏、中南部においては、自治会の加入率低下、不十分な新住民の包摂、公開性透明性の欠如、公的課題に対する解決力の低下など、非常に大きな問題を抱える地域自治組織が多いことが分かりました。 また、市民活動団体やNPO等は、地域への新しい移住者にとって、サービスの提供としても受給者としても求心力をもって育ちつつありますが、自治会という地域自治組織に代替できるものではなく、また、実際に市民活動団体NPO等と自治体の間での協働には非常に多くの問題があることが分かりました。 教育と地域の連携や協働については、八重山諸島の学校教育と自治会(自治公民館)との連携、相互関係にあることが2009年度の聞き取り調査によってある程度判明しました。非常に理想的な相互関係であるということが言えます。学校無くして自治会行事は実施不可能であり、また、自治会無くして学校の存続はありえません。例えば、地域の方々が、学校の総合学習で講師として児童生徒に自治会の伝統芸能や農業を教えており、また、児童生徒は学校の授業でならった伝統芸能で、自治会の伝統行事に参加しています。これらは、1自治会の中にある1小学校の事例で、沖縄本島中南部、都市地域では、ほぼあり得ない状況です。 以上の研究成果に基づき、本年度は、地域的な組織と教育組織との連携が、比較的うまくいっている県内中南部の事例を探し出し、キーパーソンを招聘して、 (1)学校(と社会教育を含めた教育機関)側が地域の側に、どのような働きかけを行い、地域社会の自発的な組織化、地域連帯の再編にどのような効果をもたらしたのか。 (2)地域の側が主体的自発的に、教育の課題についてどのように発見し学校及び教育機関の側に教育のその課題解決に向けてどのように働きかけを行い、それがどのような効果をもたらしてきたのか。 について、座談会(フォーラム)方式の聞き取り調査を行うこととします。 また、地域の方々が主体的組織的に学校運営に関わる地域運営学校の事例として、京都市御所南小学校関係者、岡山市岡輝中学校関係者などを招聘して、座談会(フォーラム)方式の聞き取り調査を行うことを予定しています。 その記録はすべてテープ起こしを行い、研究成果報告書に掲載される予定です。 この研究によって、住民の自発的な組織と行政(教育機関・学校等)との間に、公的課題として、「教育の課題」を協働で発見し、協働で探求し、協働で解決に取り組むことと、そのことによって、地域と教育の現場の中に公的課題を協働で担っていける「人」づくり、エンパワーメントが行われ、地域の再生と教育の再生を実現していく処方箋を発見していくことを目的とします。 2.スケジュール案 4月 16日(土)企画会議 5月 07日(土)企画会議 14日(土)中城村立津覇小学校と地域の事例 6月 11日(土)南風原町の学校と地域の事例 25日(土)那覇市立真地(マージ)小学校と繁多川公民館の事例 7月 09日(土)離島における学校と地域の事例(予定) 30日(土)地域運営学校:岡山市岡輝(コウキ)中学校の事例 8月 06日(土)地域運営学校:京都市立御所南小学校の事例 27日(土)検討、分析、論文作成等 9月 10日(土) 〃 24日(土) 〃 10月 08日(土) 〃 22日(土) 〃 11月 12日(土) 〃 26日(土) 〃 12月 ・原稿提出、編集、校正等 2月 ・成果報告書の発刊と成果報告シンポジウム ※定例研究会及び座談会は、隔週午前、月2回程度で開催。 3.調査項目 (1)地域との関わりをどう作っていったのか。(きっかけ、導入の経緯、概要) (2)このような関わりを作った理由、理念。 (3)地域の方々は、学校教育の理念、年次目標、カリキュラム編成、カリキュラム・授業の中身の確定、人事・担当の選考、授業提供、学校行事への支援、地域行事への学校(教員・児童)参加、地域づくりへの学校参加、それぞれの決定にどのよう関わっているのか。 (4)学校教員の側に、地域の方々との連携の手間暇をどう納得させたのか。 (5)どのような地域及び自治会のある地域で、このような関わりは作れるのか、作れないところはあるのか。 4.定例研究会及び座談会の会場 琉球大学文系総合研究棟703、他学内の教室 5.調査員 琉球大学国際沖縄研究所現代沖縄研究班及び沖縄自治研究会メンバー20名程度。 6. 主催 琉球大学国際沖縄研究所現代沖縄研究班 沖縄自治研究会 |